2004年04月06日

初動負荷理論

新トレーニング革命―初動負荷理論に基づくトレーニング体系の確立と展開 [単行本] / 小山 裕史 (著); 講談社 (刊)

「奇跡」のトレーニング [単行本] / 小山 裕史 (著); 講談社 (刊)



今年1月15日に発刊され、2月2日には3刷目が出ている売れ行きである。(※注.上リンクは最新の情報に更新しています‐平成23年7月)
著者の小山裕史氏は、10年前に保守的な体育理論を守る業界からのパッシングに耐え、初動負荷トレーニングという革命的なメソッドを開発した方である。
この理論と方法の正しさは、イチローや昨年短距離でメダルを獲った末続選手ほか、数あるトップアスリートの活躍で証明され、いま注目を浴びている。
初動負荷理論の中身には今は触れない。ただ強調しておきたいのは、とにかく今まで私たちが学校で学んできた体育の授業や運動部の練習方法が、間違いとしてことごとく喝破されていることだ。従来の訓練法は、技術の上達を阻むだけでなく、真面目にやるほどケガ、障害を増やすことになるのだ。
余談だが先だっての選挙で、私は某元プロ野球選手に投票をしなかった。その理由は「科学的トレーニングなぞ信用できない」とノタマウのを、雑誌やテレビでよく目にしたからだ。
政治的な見識についてはそれほど嫌いではないのだが、前記の理由だけで私はこの人に長となられては困ると思った。人の体がつぶれる教育を野放しにされる気がしたからである。
まあ、私も鍼灸とEBMは馴染まないと言ったが、鍼灸のメソッドは「科学化」される前から、非常に長い期間、先人によって研究されてきた実績がある。野球のようにここ百年足らずの試行錯誤とはレベルが違う。
近年になって古武術が見直されてきたのも、そこのところでだ。寸分の間に切っ先を受ければ一命を落とすような世界で練られてきた技術は、操法、鍛錬法ともに合理的な要素を持っているはずなのだ。
ただし本書では「なんば」と初動負荷理論による走法を同一視しないで欲しいと、著者は軽く注意を促している。我々としては共通点を感じることがらが非常に多いので、偏り無く読み比べながら、両方とも治療のための発想材料に加えたいと思うところではある。

小山氏は合理的な人体の動きの正体を、いわば「より現実的な運動生理学」によって解釈することに成功した人だといえる。もちろん部分的なところでは、これから一層研究が進むにつれ、漸次改良されていくだろう。
しかしそれは、今までこの世界に見られてきた「うさぎ跳び○→×」のような場当たり的な改変とは意味が違う。
それらは、思考の基本から間違っていたために、何をやっても時間がたつとぼろが出ていただけなのだ。
本書は、そうならないための基本としての考えを、述べたものでもあると言えよう。
とにかく治療家やトレーナー、スポーツコーチのみならず、小中高の子供を持つ親にも是非読んでいただきたい一冊である。
posted by 徒手空腹 at 23:08| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本を読む | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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