2004年03月29日

EBMと鍼灸

頭痛の鍼灸治療に関して前々回触れたので、EBMについて少し考えたい。
EBMはエヴィデンス・ベースド・メディスンの略。
「科学的根拠に基づいた医療」である。これは実際に患者へ施した医療行為を通して得た根拠のことである。だから比較実験の体を様することになる。
その中で信頼性が置かれているのは二重盲検法だ。
 例えばある薬Mがある症状Tに効くかどうかを調べたい。それには同じ症状Sの持ち主を大勢集めて、こそっと2グループに分ける。こそっとである。ネタをばらしてはいけない。

AグループーMの効果を説明の上でMを投与する。
BグループーMの効果を説明の上で、患者には黙って偽薬(砂糖錠)のみ与える。

ここで大事なのは、実際に薬を投与する医師もが、その患者がどちらのグループに属しているか、自分の出している薬が本物かどうか知らされていないことだ。
患者と医師両方が知らずに行なうので「ダブルブラインド」になる。
これで思い込みによって症状がよくなってしまう「プラセボ」を数字から排除できるとされているわけだ。
一症状対一薬による治療なら、これは避けて通れない道になるんだろう。いや、それくらいやってもらってもまだ不安でもある。
鍼灸ならどうか?まず「二重」盲検法は最初から成り立たない。やるとしたら経絡、経穴の知識まったくない素人に命令して打たせることだ。
多分実施はされることはない。
二重でなくてもプラセボとの比較は出来るだろう、ということでなされた実験はある。
A. 疼痛部位を通る経絡のツボに刺した。
B. 疼痛部位を通る経絡のツボに刺すマネだけをした。
C. 疼痛部位を通っていない経絡のツボに刺した。
これで「Aが一番優れていました」という結果が出た。
まあ順当かなとも思う。
しかし訴えの出てる場所の該当経絡以外に鍼をして良くなることは、臨床上は日常茶飯事のように経験している。患者の状態と打つものの技術によっては反対の結果が出ることがあるのだ。
苦しんでいる患者にとって頼りなのは、平均値ではない。自分はどんなパターンで治る方向に行くのかだけである。
平均値と外れているもののが現れたら、その説明にまた科学的根拠を得るための実験が必要になるわけだ。
これを繰り返すべきなのだろうか。

仮に疼痛部位という患者の訴え以外の手がかりで、経絡を診てはどうか。
例えば押えて反応を見る。しかし圧痛はすべての経穴を診ることは出来ないし、もしやればそれだけでちょっとした効果が出てしまって、正確な判断が出来なくなる。
経絡を脈で診るには気口九道診というのが必要になるが、出来るものは少ない。また術者の微妙な感覚に頼る診断技術は「主観的」と非難の的になり、それ自体が“科学的に”検証されていない段階である。
鍼灸はEBMと馴染まない。本当はそう思っている人は多いはずである。
posted by 徒手空腹 at 21:25| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 身体を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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