2011年07月10日

苦しい動きと楽な動き

筋力トレーニングというだけで、苦しい思い出が次から次に蘇ってくる…そんな人います?私を含めて我々の世代は結構多いです。非科学的運動としていち早くやり玉に挙げられたうさぎ跳びを小学生自分に経験し、間違ったスクワットや腹筋運動、腕立て、腿挙げと一通り真面目にやってましたな。あと空気イスというのがありましたが、あれは私はやったことないのですが、なぜか女子の運動部に多い気がします。陰湿な後輩イジメに最も適しているから…と言ったの私でなく知人の女性です。まあ、それはさておき、あれらのトレーニングに共通した間違いは何だったのか、改めて考える必要があります。

最近では色んなところで盛んに指摘されていることですが、一般にはなぜかまだ知られていないことなので、念のためにお話しいたします。

ヒンジ運動という言葉があります。ヒンジは蝶番(ちょうつがい)のことです。蝶番を支点(軸)にしてドアが開閉するような動きのことを、ヒンジ運動と呼んでいます。わかりやすくするためにアナログ時計の針の動きで考えてみましょう。6時を指している針が12時のところへ向かうには、針先は針の長さの3,14倍も移動しています。もしこれが人間の作業であるとすれば、とても非効率なことであるといわねばなりません。

ここで重量挙げの動画を一度ご覧ください。フォームが横から見える動画を探したのですが、ありませんな。でもこれは斜めから映してスロー―になっており一番わかりやすいです。バーベルの軌道にご注目ください。体の前を真っ直ぐ垂直に上っています。何か感動しますね。

もう一つはうって変わってフィギャアスケートの映像。ご存じ安藤美姫選手の魅力的なスケーティングに酔いしれないようにして、手の動く軌道だけだけご注目ください。前半のスピーディーな動きの中では、手は弧を描くことなく体に沿わすように持ち上げています。肩〜肘〜手首、そして指先と順番に挙がっていく様子は、美しく妖艶な印象を与えますが、これはよく見ると先の重量挙げと同じであることに気づきます。

小さな体で信じられない重量物を持ち上げるのも、氷上で激しく舞いながら素早く手を挙げるのも共通した垂直上昇の動きをしています。弧を描いて遠回りするヒンジ運動ではありません。

ヒトは本来ならばヒンジ運動を嫌う生き物なのです。

我々が経験してきたトレーニングの多くは、この間違った運動が取り入れられてきました。度々言いますがラジオ体操もその代表です。あんな無駄な動きが生活やスポーツで再現されることは絶対にありません。近頃は「その普段することのない動きをすることが体にも脳にもいい」と言い出す輩が現れてきました。一応何かの学者さんらしいですが、大学の先生というだけで信用できるくらいなら、病人も不況もありやせん話です。前頭葉の血流が高まるからいいとかいう俗説に問題があることは、真面目な脳科学者も指摘しています。

ヒンジ運動で高負荷をかけると非常に苦しさを伴います。それが「力になる」と信じられてきましたが、関節を傷める弊害の方がはるかに多いことがわかってきました。かといって軽負荷では力もつかない、能力も高まらない運動になりかねません。

子供の運動能力を高めるにも、中高年者がストレス解消にスポーツを楽しむ時も、高齢者の体力維持、転倒予防に運動を勧める場合でも、共通して注意すべきことの一つとしてまず押さえておくべきポイントであると思います。

初動負荷理論による野球トレーニング革命 [単行本] / 小山 裕史 (著); ベースボールマガジン社 (刊)
posted by 院主です at 13:29| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 運動を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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